慰謝料に関して
「慰謝料」と言えば、芸能人やスポーツ選手の離婚などで、何千万円、何億円という額がテレビでよく取り上げられ、
皆様にも耳に馴染んだ言葉だと思います。
- 慰謝料とはどのような場合に請求できるものでしょうか。
- まず「慰謝料」という言葉の意味ですが、慰謝料とは、違法性のある行為により、離婚を余儀なくされたことに対する損害賠償金のことをいいます。
したがって、相手から違法な行為があって、その行為のせいで離婚する破目になった場合に、慰謝料が発生します。 - 「自分は結婚生活を続けたかったが、相手のお金に対する感覚のズレがどうしても許せなくて離婚する破目になった」という場合は、慰謝料は取れるでしょうか。
- 答えは、この理由で慰謝料を取るのは難しいでしょう。
相手のせいで離婚する破目になったのに、何故慰謝料が発生しないのかと疑問に思われるかもしれませんが、この場合「違法性のある行為により」とまでは言えないため、慰謝料が発生しないのです。 - では、「違法性のある行為」とは、なんでしょうか
- 犯罪行為は当然違法性のある行為と言えるので、配偶者から暴力を振るわれた場合、慰謝料を請求することができます。
他に、貞操義務違反(いわゆる浮気)、嫁(婿)いびりへの夫の加担などがあります。
但し、受け取る人によって悪いとも悪くないとも言えてしまうようなものの場合は、判断をする裁判所も、違法だと断言することが出来ません。
よって、性格の不一致や価値観の違いのような事情では、「違法性のある行為」と裁判所が認定できないため、慰謝料請求が認められるのは困難でしょう。 - では、例えば、同居していた舅・姑が、お嫁さん(或いはお婿さん)を精神科に通わなくてはいけなくなるほど追いつめられてそれが離婚原因となった場合、舅・姑に対しても慰謝料は請求できるのでしょうか?
請求できる場合もあります。
この場合、舅・姑は配偶者と共同して、嫁(婿)いびりによって、嫁(婿)に離婚を余儀なくさせているので、共同不法行為責任という責任を負い、配偶者と連帯して慰謝料を支払う義務を負うことになります。
【東京高判昭和35年8月23日東高民時報11巻8号227頁】他にも、第三者への慰謝料請求として、浮気相手への慰謝料請求が良く行われます。
浮気相手があなたと配偶者が結婚していることを知っていた場合には、慰謝料請求をすることができる場合があります。
【最判昭和54年3月30日民集33巻2号303頁】このように、離婚を余儀なくさせた原因が第三者にある場合には、第三者に慰謝料請求が可能になることがあります。
- では、最後に慰謝料として認められる額はいくらぐらいでしょうか。
-
冒頭で述べたように、芸能人ニュースでは数千万円から数億円と言った高額な慰謝料が認められているケースを耳にします。
しかし、ニュースになるということは、それだけ珍しいということなのです。
慰謝料の平均的な請求額は300万円~500万円です。
そのうち、平均的に認められる額は300万円以下となっております。
但し、これも事案によりけりです。もっと低く、数十万という場合もありますし、高くなる場合もあります。
例えば、配偶者からの暴力行為で後遺障害を負った場合、逸失利益の損害まで認められたケースもあります。慰謝料額は、大きく分けて①有責性、②婚姻期間、③相手の資力の三つから算定基準が考慮されていると言われています。
- 有責性では、例えば浮気に至った原因が誰にあるのかが等が問題になります。
- 婚姻期間では、結婚期間が長いほど離婚になるダメージは大きいと考えられて、対応する慰謝料の額も高くなると考えられています。
- そして、スポーツ選手等、高額収入の方の場合は、慰謝料も高額で認められる可能性が高くなります。
弁護士に具体的なケースを相談することで、ご自身のケースではどの点の事情が特に重視されそうかを知り、適切な慰謝料を請求していきましょう。離婚の慰謝料の問題でお悩みの方は、弁護士法人萩原総合法律事務所(茨城県筑西市・常総市・ひたちなか市)までお気軽にご相談ください。
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