- 茨城の離婚問題弁護士コンサルティング TOP
- 離婚と子どもの問題
- 養育費の支払義務
養育費の支払義務に関して
養育費とは、子どもが社会人として自立するまでに必要となる費用で、子どもの扶養者である親として支払わなくてはいけない費用です。「親」というのは、親権者に限られないので、親権者にならなかったからといって、支払い義務がなくなることはありません。
金 額
養育費の額は、訴訟ということになれば、支払い義務者になる者と請求者の収入及び子どもの人数に基づき、算定表を基準に決めることが一般的です。
算定表については家庭裁判所のHPで見ることが出来ます。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf
訴訟にならなくても、調停や協議離婚の交渉でも、算定表は基準になるので、大体の金額の目安として一度ご覧になると良いと思います。
なお、算定表はあくまでも目安ですので、具体的事情によっては、養育費が増減することはありえます。
期 間
次に、養育費は子どもがいくつくらいになるまで払うもの(貰えるもの)なのでしょうか。
前述したように、養育費は「子どもが社会人として自立するまで」の費用です。
そこで、通常、訴訟や審判になる場合には、成年に達する日の属する月までと考えられます。
しかし、現在では子どもが大学へ進学することも珍しくありません。
したがって、親の資力、学歴、社会的地位などから通常、その子どもが高校卒業以上の高等教育を受ける家庭環境であると判断される場合には、大学進学の扶養料も発生することがあります。
判例では、医師や教員の父親に、大学卒業時までの扶養料の支払い義務を認めた裁判例があります。
(大阪高判平成2年8月7日家月43巻1号119頁、東京家審昭和50年7月15日家月28巻8号62頁)
養育費の請求
(1)放棄した養育費を請求できるか
例えば、離婚する際、妻が財産分与として家を貰う変わりに、養育費を放棄したが、家計がどうしても苦しくて養育費が必要な場合、妻は放棄した養育費を夫に請求できるかが問題になります。
この点、養育費は子どもが親から扶養を受ける権利として請求できるものなので、権利者は妻ではなく、子ども自身になります。
従って、親が子どもの権利を勝手に放棄することはできないので、このような場合でも、子どもの請求として養育費を請求することは可能です。
とはいえ、「放棄します」との約束は、子どもと夫の関係に影響を及ぼさないものの、妻と夫には影響があります。つまり、合意の仕方によっては、夫は子どもに払った養育費を、妻に対して求償していくことも十分考えられます。しかしながら、合意後の事情の変更等もありますので、当事者間で合意内容を変更させることに問題はありません。
また、場合によっては、裁判所が合意の取消変更をしてしまえる場合もあります。
(札幌高裁昭和51年5月31日判タ336号191頁)
(2)過去の養育費は貰えるのか
「とにかく急いで離婚して、それからは夫と連絡をとるのも嫌だったので、養育費を夫に請求することも、夫から任意に支払われることもありませんでした。しかし、夫は離婚後独り身になり、悠々自適に暮らしていたと聞きます。
今後の養育費の支払いに加え、離婚後から今までかかった養育費についても夫に請求することはできるのでしょうか。」
上記の問題点は、養育費の性質と関係してきます。
請求すること自体は問題ないでしょう。
養育費は子どもの「親」が負担すべきものなので、子どもと別居している親も当然、養育義務があります。しかし、審判上、「請求」をしていなかった分の過去の養育費は認められにくいと言われています。
これは、養育費は子どもが「育つ」ために必要な金額なのだから、これからの成長のためにかかる費用はさておき、既に育った分に関しての費用は養育費としては観念できないというものです。
納得できないという方も多いと思います。
この点、請求をしていなかった過去の養育費の一部について支払いを命じた審判例もあります。
ここでは、
- ①子供が要監護養育状態にあること
- ②義務者に支払能力があること
を判断した上で、裁判所が裁量で「相当」と認める範囲について、過去にさかのぼった養育費の支払いを命じています。
(宮崎家審平4年9月1日家月45巻8号53頁)
但し、「相当」と認める範囲を裁判所が裁量で決めるので、過去の養育費が特に高額になっている場合、全額請求が認められることは少ないと考えて貰えばいいでしょう。
(3)支払い方法
養育費は、子どもの成長段階に必要な監護養育の需要を満たすために支払われるものなので、特別な事情が無い限り、一括払いではなく定期金払いの方法で支払われます。
特別な事情としては、長期間にわたって確実な履行が期待できない場合を言います。
例:義務者が外国籍で、帰国を予定している場合等
(長崎家審昭和55年1月24日家月34巻2号164頁)
※一括払いの場合、贈与税の課税対象となることがあります。
(4)履行の確保
「強制執行」の項目をご覧ください。
【増減額請求について】
家計状況の変化、相手の仕事の地位の変更、再婚などにより、今まで貰っていた養育費では足りなくなったり、養育費を払い続けることが困難になることがあります。
そんなときは、まずは合意で養育費の増減を決めることができればベストですが、協議が整わない場合は、家庭裁判所の調停・審判の申立てをして、養育費の額を決めなおしてもらうことが可能です。
自分の事情では、どの程度の養育費が請求できるのか等々、弁護士法人萩原総合法律事務所(茨城県筑西市・常総市・ひたちなか市)までお気軽にご相談ください。
離婚と子どもの問題
お住まいの市町村をクリックしていただくと
最寄りの事務所がご覧になれます。